夕方、仕事を終えてふと顔を上げたとき、空があまりに美しくて、思わず息を呑みました。
空一面に広がる赤やピンク、紫が重なり合うグラデーション。まるで空が燃え上がるように鮮やかで、だけどどこか柔らかく、優しい色合いでもありました。雲は太陽の名残を受けて、筆でそっと描いたような流線をつくりながら、空の奥へ吸い込まれていくように見えます。
この景色を見てまず思ったのは、「今日一日、頑張ってよかったな」ということでした。
日々の生活の中で、同じような毎日を繰り返していると、季節や時間の移ろいに気づけないことがあります。でも、こうして空が教えてくれるんですよね。「今日は特別な日だよ」って。
写真の奥に見えるのは、どこまでも重なる山々。その手前には田んぼが広がり、夕焼けの空を映すように静かに輝いています。風が吹くたびに稲の穂がさらさらと揺れて、耳を澄ませばその音がちゃんと聞こえてくる。あたりには、夕暮れに鳴き始める虫たちの声と、遠くで働く人の気配がかすかに混じっていて、まさに「暮れていく日常の音」が満ちていました。
空を見上げて感じるのは、「自然の大きさ」と「自分の小ささ」ですが、それが不思議と心地よく感じられるから不思議です。大きなことを成し遂げなくても、何かを証明しなくても、ただ今日も一日を終えることができた。それだけで十分だと、そんな風に思わせてくれました。
そして何より、この空の美しさを写真に収められたことが本当に嬉しい。カメラ越しではなく、自分の目で見た景色の方がずっとずっと美しかったけれど、それでもこの空の表情をこうして残せたことに、少し誇らしさすら感じました。
季節は夏の終わりに向かって少しずつ歩いていて、昼間の暑さとは対照的に、夕方はふと肌寒さを感じる瞬間も。こんな風に自然が語りかけてくれる日々が、当たり前にあることのありがたさに気づかされた一日でした。
たとえば、何かに行き詰まっていたり、疲れがたまっていたりするとき。特別なことをしなくても、ただ外に出て、空を見上げるだけで心が変わる瞬間があります。この夕焼け空は、まさにそんな「小さな奇跡」のような風景でした。