福島・会津若松の住宅街に、静かにその暖簾を掲げる一軒の食堂がある。
その名も白孔雀食堂(しろくじゃくしょくどう)。
古びた外観、手作り感あふれる看板、昭和を感じさせるのれん…決して派手ではない。しかし、そこには一度食べたら一生忘れられない「名物」がある。
そう、“フタが閉まらない”カツ丼である。
外観はレトロ、中身は衝撃。白孔雀の世界観に圧倒される
最寄駅から少し歩いた場所、まるで民家のような店構えに一瞬戸惑いながらも、暖簾をくぐればそこはもう「白孔雀ワールド」。入口すぐそばにはキャラクターの顔が貼られた券売機があり、そこで名物カツ丼の食券を購入する。
特筆すべきはその券売機のセンス。
「100円玉が不足しています」の貼り紙、にっこり笑う店主の似顔絵ステッカー、そして「名物カツ丼 ¥1,600」「名物カツ丼ハーフ ¥1,050」と潔いメニュー構成。そこに漂う空気は、“一品入魂”の店の覚悟そのものだ。
かつてはラーメン(志那そば)も提供していたが、現在はカツ丼一本に絞り込んでいる。この決断は、「うちはこれで勝負してるんだよ」という揺るぎない矜持のあらわれ。実際にこの一杯を食べれば、その潔さに誰もが頷くはずだ。
想像の3倍デカい!フタを押し上げる圧巻のカツ丼が登場
着席して待つこと数分。
運ばれてきた丼は…もう、笑ってしまうくらいすごい。
フタが完全に持ち上がっている。いや、「のっかってる」なんて生易しいものじゃない。丼の上にフタが“立っている”のだ。これほどまでに「丼の容量という概念」を無視したカツ丼を、筆者は他に知らない。
丼の中には大ぶりなカツが2枚、いや、もはや“皿”のようなサイズ感のカツが、縦にも横にもはみ出している。甘じょっぱく濃厚なタレが照り照りと輝き、分厚い衣からジュワッと香ばしい香りが漂ってくる。
その下にはシャキシャキのキャベツがたっぷり。揚げ物の後口をさっぱりと中和してくれる、この名脇役も見逃せないポイントだ。
一口で、会津の底力を感じる。肉厚ジューシーでタレが染み渡る
カツを箸で持ち上げると、その重みに思わず手首がブルッと震える。
衣は厚すぎず、サクサクの軽い口当たり。そして中から現れるのは、肉の旨みがギュッと詰まったジューシーなロース肉。
甘辛の秘伝ダレが表面にしっかりと絡んでいて、ご飯と一緒に頬張ればもう…笑みがこぼれる。
これはもう、“ご飯が進む”という表現では足りない。白米がタレを吸ってさらに旨みを増し、最後まで飽きることなくかき込める、究極の「丼めし体験」だ。
味噌汁と漬物という王道のセットも心を和ませてくれる。どこか懐かしい味に包まれ、胃袋だけでなく心まで満たされていく。
店内は有名人のサインだらけ!知る人ぞ知る“聖地”の風格
白孔雀食堂の人気は、地元にとどまらない。
店内には芸能人やアスリート、有名人たちのサイン色紙がびっしりと並んでいる。
テレビでもたびたび紹介されており、「あのカツ丼の店」として全国からファンが訪れる。
それでもお店の雰囲気はあくまでアットホームで、店員さんの応対も飾らない優しさに溢れている。
観光客で賑わいながらも、地元民に深く愛され続けているのがこの店の“本当の魅力”なのかもしれない。
店内は写真撮影が禁止だったので、行かれた方はご自身でご確認ください。
【まとめ】“カツ丼は、丼を越える”そんな名言すら浮かぶ名店
白孔雀食堂の名物カツ丼は、ただのデカ盛りメシではない。
それは、味・量・心意気の三拍子がそろった、会津の魂をのせた丼ぶりだ。
「会津で一食だけ選べ」と言われたら、迷わずここをおすすめしたい。
満腹のその先に、きっと忘れられない思い出が待っている。
📍白孔雀食堂(しろくじゃくしょくどう)
所在地:福島県会津若松市
名物:フタが閉まらないカツ丼(¥1,600)
旧メニュー:志那そば(現在は提供終了)
壁一面のサイン色紙も必見!
営業時間:お昼前の訪問がおすすめ(混雑回避)
※店舗内撮影は名物カツ丼に限りOK。他のお客様が写り込まないよう配慮を。